あっ 高橋尚子だ! 金メダリストの一声で 疲れが吹っ飛んだ  ホノルルマラソン初参戦!

  •  Posted By Hiroya
  •  2017年01月15日

あっ 高橋尚子だ! 金メダリストの一声で 疲れが吹っ飛んだ  ホノルルマラソン初参戦!

私がホノルルマラソンに初参加したときのことです。実は当時、ホノルルマラソンどころか、マラソンそのものに初挑戦だった私。朝5時、花火とともに元気にスタートしたものの、ペース配分が分からず適当に走っていたせいか、30km付近では走るどころか歩くこともままならない状態となりました。気力も体力も尽き果てたとは、まさにこのことだ……そんなことを考えていたときのことです。

金メダリストの一声で 疲れが吹っ飛んだ!

後方から

「さあ、みんな元気出して!」

という、明るく元気のいい日本語が聞こえてきました。その声の主は、なんと高橋尚子さん! そうです、シドニーオリンピック・マラソン女子金メダリストの、あの高橋尚子さん、Qちゃんです!!

「私と一緒に走りましょう! グループで走ると楽ですよ!」

この一声に勇気付けられ、歩いていた何人かが彼女の後ろを走り出しました。私もその一人。疲れているにもかかわらず、Qちゃんの明るい声に乗せられ、うっかりグループに入り、走り出してしまったのです。

そんなうっかり者の集団は、気付けば10人ほどに。結構なペースで走っているので、歩いている人たちを豪快に抜かしていきます。

「前は見ない! 見るのは前の人の足だけ! 前を見ると転びますよ!」

「30kmも走ったんだから足が動かないのは当たり前、そういう時はしっかり手を振ろう、足が自然とついてきますよ!」

「みんな、えらいよ!すごいよ!がんばってるよ!」

高橋さんの声は魔法のようにランナーの心と体に力を与え、誰もがさっきまで歩いていたとは思えないほど力強く走っていました。私の体の痛みもどこへやら。不思議なほど、走れるのです。

途中、集団の一人の女性が

「ちょ、ちょっとペース速すぎませんか?」

と弱音を吐くと

「これくらい普通、普通!」

と明るく受け流す金メダリスト。そのうち、集団の一人の男性が、走りながら携帯電話を取り出しました。きっと高橋さんと一緒に写真を撮ろうとしたのでしょう。

するとすかさず

「走りながら携帯電話をいじるのは危険ですよ!」

と高橋さん。その声の厳しい響きに、彼は携帯電話をしまいました。さすが!

ふと気付けば、さっきまで10人程だった「高橋尚子と仲間たち」は、いつしか20人程にまで増えていました。脱落する人、新しく参加する人……これを繰り返しながら、集団は徐々に大きくなっているようです。

高橋さんは走りながら我々を励まし、アドバイスを与え、時には笑いを取って盛り上げてくれます。その間も息はまったく乱れず、本当にみんなで走ることを楽しんでいるようでした。一流のアスリートは運動能力のみならず、人間性も素晴らしいのです!

「みんな、ちゃんとついて来てね、1メートルも遅れちゃだめよ、その1メートルが命取りよ!」

そんな言葉に笑いながらも、心の中で「よし、絶対に遅れないぞ!」と決意した私。しばらくすると、給水所が見えてきました。

「みんな、給水所ですよ、水を取ったらすぐに戻ってきてね。すぐにですよ!」

私も急いで給水所に行きましたが、混んでいてすぐに水がもらえず、モタモタ……そんなことをしているうちに、給水なしで走り続けていく高橋さんの後ろ姿がどんどん遠くに!!

「えーい、水などいらん!」

焦った私は給水をあきらめ、集団に向かって走り始めました……が、疲れた足がもつれて追いつけません。ここで思い出したのが、「1メートルが命取り」という高橋さんの言葉。20メートルは絶望的だなぁとあきらめ、歩き始めてしまいました。

と、同時に、再び全身に痛みがよみがえりました。しかも以前よりも大きな痛みが。私はなんて弱い人間なのでしょう!

「ひどいよ金メダリスト、給水取れって言ったのに、自分はそのまま走り続けるなんて!」

八つ当たりをしても意味がないということは、自分が一番良く分かっています。だって、高橋さんがいなければ、あのまま私はゴールまで歩き続けていたのですから。痛い体を引きずりながら。

高橋さんと一緒に走れたのは、ほんの数キロだったと思います。でもその数キロの出来事は、私にとって最高の思い出となりました。

ありがとう、高橋さん!金メダリスト万歳!

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